9/14(木)『権利擁護支援従事者研修 (米沢)』【報告】

 

AS-J権利擁護支援従事者研修開催報告書

 

 

1.日  時   平成29年9月14日(木) 10:00~16:00

2.会  場   山形県米沢市「伝国の杜」大会議室

3.参加者数   65人(市内43人、市外21人、県外1人)

4.プログラム

(1)講義「意思決定支援と成年後見制度利用促進法について

―利用促進基本計画を踏まえて―」

 

 

講師:熊田法律事務所 弁護士 熊田 均 氏

 

(2)事例検討(グループワーク)

-権利擁護を軸として-

講師:認定NPO法人あさがお 所長 尾崎  史 氏

全国権利擁護支援ネットワーク 事務局長 今井 友乃 氏

 

5.報  告

平成22年、一般社団法人おたがいねっとを設立し、全国権利擁護支援ネットワークに加

入して7年目を迎える今年の春、今井事務局長から米沢で「AS-J全国権利擁護従事者研修」を米沢市で開催を検討して欲しいとの打診があり、理事会、総会で検討した結果、開催を決定しました。開催日は研修参加者が公務で参加できるように平日とし、開催場所は市外からの参加も想定し駐車場が隣接していること、しかも、県外から講師を依頼するとのことであったので、米沢の特色を理解して頂けるような「米沢伝国の杜」としました。

米沢市をはじめ、山形県社会福祉士会、山形県精神保健福祉士会、山形県介護支援専門員協会、山形県障害者相談支援専門員協会の専門職団体や山形県知的障害者福祉協会、山形県老人福祉協会に研修会の主旨を理解いただき、後援をお願い致しました。

テーマは「意思決定支援」、成年後見人として被後見人の意思決定やしょうがい者や高齢者の支援に日常的に関わる実践の中で重要な課題です。『意思決定支援という概念はわが国が批准した障害者権利条約から影響を受けた概念であり、今まで守られる対象でしかなかった人たちを障害がない人たちと同様に主役とし、支援者は環境調整のための脇役であり、自己決定支援を徹底することである。今までの意思決定支援は「能力不存在推定」を前提としたものであり、これからの意思決定支援は「能力存在推定」へのパラダイムの転換が求められる。意思決定支援ができない場合とは、支援者側に本人の意思を確認できない場合であり、それは本人の能力に関係なく、支援者側の能力の問題である。』との講義は特に印象に残りました。平成28年5月に施行された「成年後見制度利用促進法」制定の背景、目的、国や地方公共団体の役割については、多くの受講者が初めて知る内容であり、特に市町村職員はその役割の重大さに息を呑んだ様子でした。

午後は前段の意思決定支援の講義を受けて、多職種連携による事例をとおしてのグループワークでした。支援困難事例とは、個人的要因、社会的要因、不適切な対応によって発生するとの理解の上、家族構成員個々の意思を尊重し、多問題家族をどのように支援するか、多職種横断的なグループワークでは「はっと」気づかされることも多々あり、とても新鮮な気分になりました。

この度の研修会では、全国権利擁護支援ネットワークから講師3名を派遣して頂き、

当日は天気にも恵まれ、山形県64名、県外1名の予想以上の参加がありました。成年後見制度利用促進法や意思決定支援の考え方、事例をとおしての具体的な支援の在り方については、受講者からとても有意義な研修だったとの感想が多く、現地主催者としても大変嬉しく思い、この研修を米沢で開催することを提案して頂いたことに心から感謝いたします。

 

作成者 : 安部久