内閣府「成年後見制度利用促進基本計画の案」に盛り込むべき事項に関する意見募集について(パブリックコメント)

2017年2月17日
全国権利擁護支援ネットワーク
代表 佐藤 彰一

当会では、「成年後見制度利用促進基本計画の案」に盛り込むべき事項に関する意見募集に対し、運営委員による審議を経て、以下のとおり、 意見を取りまとめ、内閣府に提出いたしました。

□意見の趣旨

□意見の対象箇所・意見及び理由
1 成年後見制度利用促進基本計画について
(1)成年後見制度利用促進基本計画の位置付け
(2)基本計画の対象期間
上記項目について、特筆すべき意見はない。

2 成年後見制度利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標等
(1)基本的な考え方
法定後見制度の利用促進は、世界の動向、とりわけ政府も批准している障害者権利条約12条の精神に離反するものであり、本促進基本計画も、法定後見制度の促進ではなく「権利擁護支援の促進」の基本計画として位置づけられるべきである。
そうした方向への提言も記載されていると理解している。
今回は、法定後見制度の法改正に踏み込まずに利用促進が検討されたが、まず制度改正を先行させるべきであり、それを抜きにして法定後見制度の利用促進を進めるべきではない。
なお、認知症高齢者や障害者の数に比較して法定後見の利用者数が少ないとされているが、根拠が薄弱である。これらの人々すべてに法定後見の利用を想定することは不可能であるばかりが、不必要である。必要なのは生活支援も含めた権利擁護支援である。

(2)今後の施策の目標等
障害特性や高齢者の判断能力の変化、そしてご本人の使える社会的支援の状況と変化に応じた権利擁護支援が考えられるべきである。
また、権利擁護支援の地域連携ネットワークや中核機関は、法定後見の促進だけを念頭に置くのでなく、権利擁護支援全般について協議し検討する役割を担うべきである。
医療同意については、慎重な議論と制度設計が必要であり、後見人等に同意権を与えて問題を解消したとすることは避けるべきである。

3 成年後見制度の利用の促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
(1)利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善
-制度開始時・開始後における身上保護の充実-
厚生労働省の平成26年度の障害者総合福祉推進事業において「意思決定支援ガイドライン(案)」が示されていることに言及している点は評価する。この点の検討が後見人だけに共有されるのではなくご本人に関わる権利擁護支援のすべての関係者で活用が促進されるべきである。
手続利用にあっては、福祉関係者等が有している本人の置かれた家庭的・社会的状況等に関する情報も考慮されることは必要であるが、医師が診断書等でそれを判断することは不自然であり、むしろ医師の診断書だけはなくて社会的資料(ソーシャルレポート)を手続開始において利用できるよう検討すべきである。
また、社会的支援状況の変化に応じて類型の変更や手続き利用そのものの取りやめができるように工夫すべきである。

(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
権利擁護支援の地域連携ネットワークや中核機関は、法定後見の促進だけを念頭に置くのではなく、権利擁護支援全般について協議し検討する役割を担うべきである。従って三つの役割に加えて権利擁護支援促進機能をいれるべきである。
また、日常生活自立支援事業から法定後見への移行を検討するだけでなく、日常生活自立支援事業そのものの活性化をはかるべきである。この制度は意思決定支援の仕組みとしては、法定後見よりも親和的であるにも関わらず、利用者数は、法定後見よりもはるかに少ない現状を改善すべきである。

□(3)不正防止の徹底と利用しやすさとの調和
-安心して利用できる環境整備-
上記項目について、特筆すべき意見はない。

(4)制度の利用促進に向けて取り組むべきその他の事項
日常生活自立支援事業そのものの活性化をはかるべきである。この制度は意思決定支援の仕組みとしては、法定後見よりも親和的であるにも関わらず、利用者数は、法定後見よりもはるかに少ない現状を改善すべきである。
また、イギリスのIMCAに相当するような独立型権利擁護支援者の創設が検
討されるべきである。

(5)国、地方公共団体、関係団体等の役割
関係団体については、既存の専門職団体の専門性のみを念頭におくのではなく、権利擁護支援という観点から支援に従事できる専門家を育成すべきである。

(6)成年被後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討
医療同意については、意思決定が困難か否かに関わらず、本人が自ら決定することを尊重し、それを法的(社会的)に有効と出来るしくみがまず必要である。慎重な議論と制度設計が必要であり、後見人等に同意権を与えて問題を解消したとすることは避けるべきである。

□(7)成年被後見人等の権利制限に係る措置の見直し
□(8)死後事務の範囲等
上記項目について、特筆すべき意見はない。

以上