3月27日(火)「権利擁護支援従事者研修(韮崎市)」のお知らせ【報告】

1.日  時   平成30年3月27日(火) 10:00~16:00

2.会  場   韮崎市民交流センター NICORI 1階会議室5・6・7

3.参加者数   30人(市内8人、市外20人、県外 2人)

4.プログラム

(1)講義「権利擁護支援の基本」

講師:佐藤 彰一さん

(國學院大學教授/弁護士/全国権利擁護支援ネットワーク代表)

 

(2)講義「意思決定支援とエンパワメント」

講師:同上

 

(3)グループワーク「権利擁護支援ケースの事例検討」

「各グループからの報告、事例解説とまとめ」

講師:今井 友乃さん

(知多地域成年後見センター事務局長/全国権利擁護支援ネットワーク事務局長)

上田 晴男さん

(PASネット理事長/全国権利擁護支援ネットワークスーパーバイザー)

 

5.報  告

本研修は、当初、昨年の10月に開催する予定でしたが、会場の確保ができず、あらためて平成30年3月に実施する運びとなりました。佐藤先生の講演については、県内でも数回開催されており、多くの受講生を期待していましたが、開催が年度末の最終週ということもあり、思ったような受講生を集めることができませんでした。また機会があれば、県内の多くの福祉関係者のために再度開催したい研修会でした。

佐藤先生の講義は、以下のような内容でした。権利擁護や意思決定支援、エンパワメント等、これまで漠然と捉えていたことがとてもわかりやすく整理され、受講生には大変好評でした。

権利擁護活動は、生活支援、相談支援、法的支援のどのフィールドに立ったとしても、本人の良き生、人間としての尊厳を守る方向で行われることにあります。そしてその中心となるのが自己決定の尊重です。したがって、我々支援者が障害者や高齢者に接する場合、本人の自己決定、本人の意思の確認が最大のポイントとなり、本人の置かれた生活環境の中で最善の利益(ベスト・インタレスト)を確保することが求められます。

成年後見制度の基本的な仕組みは、代行決定にあります。そこで、「成年後見人には意思決定支援は全くできないのか」という問いかけがなされ、支援のあり方として引き合いに出されたのが人形浄瑠璃と歌舞伎でした。民法858条は、本人の意思尊重と身上監護への配慮を求めていることから、歌舞伎型支援を排除しているわけではありません。社会的な期待として、日常的な見守りや日常生活上の判断支援など、意思決定支援に対する期待はとても高いと言えます。

どんなに重い認知症の人であっても、その人なりの人生を生きてきた経緯があり、その人なりの思いや判断があります。適切な判断が自分ではできないと周囲から見られていた人でも支援さえ受ければ、その人なりに決定ができます。このパラダイム転換を決定的にしたのが、2006年12月に国連で採択された障害者の権利に関する条約の12条の解釈をめぐって展開された議論です。

 

午後からのグループワークでは、認知症のある母の施設入所と障害が疑われる子の金銭管理をめぐる事例について、どのように支援を組み立てていくのかグループにわかれて、熱心な討議が行われました。また上田先生の事案の解説とともに示された「事案の見立てと支援の展開」は、正にソーシャルワークの核心を図解されたものであり。どのようなアプローチで支援を展開していったらよいか、大変参考となりました。

作成者 : 特定非営利活動法人サポートネットワークゆい 河 西 俊 文