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成年後見審判の確定と即時抗告の関係

全国権利擁護支援ネットワークは直接支援の団体ではありませんの
で、個人の方からの直接相談はお受けしておりませんが、会員団体さんからの相
談はうけております。
下記のようなご相談が会員団体さんから最近ありました。

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首長申立てで成年後見人選任の審判を受けたが、まだ2週間をすぎておらず確
定はしてない。その段階で後見人として代理行為ができるのか。

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具体的には急ぎ、GHの利用契約をする必要があるとのことのようですが、次のような回答になります。

「後見等の審判は、審判を受ける者に告知し、確定することによって効力が生じ
るとされています(家事事件手続法74条2項但書)。
そこで、厳密に言えばまだ代理権は生じていないことになります。
ただ、その後確定し、追認することで効力は生じるのではないかとも考えられま
す。即時抗告されるようなことはないかどうかが重要ですね」

以下、即時抗告という話がでてきましたので、いささかややこしい話を書きます。
養護者虐待事案で市町村申立てをした場合には、申立ての有無は、虐待者には教えな
いのが普通でしょう。家裁も審判の告知(審判書の送付ですね)は被後見人と申
立人にしかしません。したがって虐待者が審判の存在を知ることは2週間を経過
した後であるとことが普通ですが、即時抗告は即時抗告者(利害関係者)が審判
の告知を受けてから2週間と考えられますので(家事事件手続法86条2項)、親族
である虐待者には、告知を受けていないわけですから、いつまでも即時抗告の権限

が残ることになります。それではいつまでたっても審判が確定しない可能性がでます

ので、告知を受けない利害関係者の即時抗告期間は、告知を受けるべきものが告知を

受けたときから2週間と規定されています(家事事件手続法123条2項)。したがって審判から

2週間を過ぎれば登記事項証明書も発行されますし、2週間以後の即時抗告は考えられない

と言ってよろしいでしょう。また審判から2週間以内に利害関係者(親族)から即時抗告が

起こされたというケースも我々のネットワークの間では聞いたことがありません。もしご経験の
ある方がおられれば、ご連絡ください。

以上は現行法を前提とした制度的な説明ですが、手続法的な観点からはなんとなく釈然としないところ
が残ります。でもまあ、それはマニアックな話ですし、我が国の手続法(民事訴訟法)
の研究者もまったく興味を示さないようですので、まあここで書くのはよしましょう。

 

追記:上記のような記事に対して、全国ネットのメンバーから即時抗告をされたことがあるとの情報をいただきました。詳細はわかりません。